「ブルベ戦記」 第376話
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新型コロナウイルス禍に振り回されてきた2020年。
9月から短いブルベシーズンが再開され、数少ない出走機会で年間SR獲得を目指す。
そんな状況下、通常ブルベをこなしつつ、なんとか日程を確保して遠征し、プラスアルファの大きな収穫となったのがSR600 Fukushima(福島)の完走でした。
Super Randonnée 600km Fukushima
SR600 距離は600km、累積標高10000m以上になる山岳パーマネントコース。 日本国内には13コース(2020年現在)あります。 今回はAR日本橋のコース、制限時間のハードルが高いランドヌール部門で。 参加申し込み後、 まずAR日本橋からブルベカードとフレームプレートが届きました。 |
これまで悪天候やコース通行止めで自分的にはDNSが続いたSR600。 やっと出走できそうなタイミングが訪れ、あとは天気が心配だったが、 予報は出発日(スタート前日)が近づくにつれ、好転しつつあった。 | |
9月に入って、300km、600km、SR600kmと、 3週続けてのブルベとなる。 しかも1週間前の土日の600kmは、完走はしたものの、 途中、房総の雨の山中でスリップ落車し、擦過傷などが脚のあちこちに。 帰宅してから、痛みは無いのになぜか骨折のようにすごく腫れていた。 アキレス腱を痛めた時と似ている。 という具合で、 脚の調子は100%の状態には程遠い。 このまま次の週末、さらにSR600に突入する。 金曜夜の新幹線は予約したが、 このシルバーウィークは無理せず、 脚の「限界」が見えたら、潔くリタイアすることも視野に入れていた。 |
9/18 それでも出発当日の朝になると、 東北地方の天候は、脚の不調で尻込みしてきた自分を後押しするように、 ますます好転。 この予報をみてまず、泥除けはもっていくのやめることに。 とにかく「軽量こそ正義」が、今回のSR600の自分なりのモットーに。 |
9/18 出発日の朝になって、コロナ対策ばっちりの近所の整形外科に駆け込み、脚の薬を調達。 腫れはまだ完全に引いていないが、痛みはなく、ペダリングには支障はなさそう。 獲得標高1万メートルのさなかに実際どうなるかは分からないが。 |
9/18 16:58 最寄り駅から輪行 東京駅へ。まだ少し残暑。蒸す。 |
9/18 18:08 JR東京駅 連休前の金曜夕方らしく、 コロナ下にあっても旅行客が目立つようになってきた。 |
とにかく、採れるうちに走るための栄養を補給(駅弁)。 スタート地の郡山に着いたら、また食べる。 |
コロナ下で初めて新幹線に乗った しかも文字通り、上野、大宮を経て、満席に。 両隣に人が座り、心なしか緊張する。 |
9/18 21:11 あっという間にJR郡山駅 着 |
駅構内で、明朝スタート前に荷物を預けるコインロッカーの場所を確認しておく。 いろいろと注意書きがあるが、 要は、2日後の午後にゴールしてきて荷物を回収すれば、高くない延長料金を払うだけでOK、ということ。 |
駅前の観光案内看板。 今回のSR600Fukushimaのコースは、まさに福島県内(と山形県の一部)を駆け巡る。 |
観光コースは様々だが、自分はスポーツをしに来たのであって、 悠長に観光している時間的、体力的余裕はないだろう。 |
駅前のホテルに入り、さっそくバイクを組み立て。
暑かった都内から来て、郡山は涼しい。 先週、向かい風でタイムロスして水戸の御老公の湯に1hしか滞在できなかったことを思えば、この夜は翌朝までホテルにゆっくり滞在できる。まさに天国だ。 喫煙室しか部屋が空いてなかったことを除けばw そこで、ずっと窓を開けっ放しにしていた。 |
9/19 6:15 スタートの朝。曇り空だが、予報通り、雨の心配なし。 |
9/19 7:24 郡山駅西口の駅前(PC1)を8時ジャストにスタートする。 着替えや靴などを入れたリュックを駅のコインロッカーに預けてきた。 これで準備万端。いよいよ、SR600スタート。 |
9/19 8:00 届け出通りの時間にレシートをゲット。 朝食は済ませていたので、最近よく飲むR-1を買う。 |
9/19 8:04 ちょうど同じ時刻に出発する参加者がもう1人いた。 この方とはこのあとスタートから途中まで相前後して走り、 後半、福島市を出た先からいわき市までの真っ暗闇の最後の夜間走行でもご一緒することになる。 |
9/19 8:47 スタートして郡山の市街を郊外へ抜け、安達太良山西側の山沿いに |
9/19 9:00 母成グリーンライン。ゆるゆると登り基調。 本格登坂はまだまだこれからだよね、と自らに言い聞かせる。 |
9/19 9:07 たまたま牛舎が見えたが、ほかに沿道にめぼしいものなし |
9/19 9:51 いったん猪苗代町に入る。 が、猪苗代湖を通るのは今日の夕方?以降 |
9/19 9:53 PC2 母成峠 30.7km ランドマーク(古戦場跡)を前にフォトチェック |
9/19 10:19 最初のピーク・標高約960mの母成峠からいったん少し下り、 またずっと登り区間 |
9/19 10:35 そして標高1000mを超える。 このまま国道115号の土湯バイパスにはいかず、我らがSR600のコースは、 くねくねと2つ目のピーク、標高1200mの赤湯温泉方面へさらに登る。 なお、このあたりの区間は、 今日これから浄土平まで登ってきて100km過ぎてから延々と下ってきて、 また逆に通過する。 |
9/19 10:47 標高1000mを超えると、視界が広がってくる。 先行していた参加者の方も、立ち止まっていた。 |
9/19 10:52 |
9/19 10:55 2つ目のピーク(分かれ道)まできた。 左側は、今日午後に浄土平からダウンヒルしてくる道。 まずは右手へ。 福島市の西の郊外まで標高1200mから1000mほど一気に下る。 |
9/19 11:01 日が差してきた。 |
9/19 11:04 5kmほどの下りを挟んだものの、計40km以上を登ってきて、 今度は20km以上の距離を一気に下る。 カーブも連続し、しかも、かなりの速度が出る。 (下りが苦手な人は大変なんだろうなあ)とつい思ってしまう。 |
9/19 11:12 あとで画像でみると、日陰の部分も見えるが、 この時は日陰が見えなくて、スピードが出ていることもあり、 散乱する木の枝が怖かった。 |
9/19 11:38 PC3 義民終えんの地 71.5km 下り終えて、福島市の郊外、あづま総合運動公園の角。 コース沿いは補給用のコンビニが限られる。 手前(68.5km)のセブンイレブンは予習してあったが、 どうもここに寄った記憶がない(レシートも残ってない)。 ここは自販機頼みで、PC3までの直行を優先したはず。 |
9/19 12:43 登りの中腹にある高湯温泉。 立ち寄った旅館の売店でようやく水分補給。 ここまでの登りが距離(ふもとから5kmほど)のわりに予想以上の激坂だった。 |
9/19 13:21 |
再び標高1000mに。浄土平まであと10kmほどの登り |
9/19 13:43 曇り空だが、眺望はいい。 |
9/19 13:56 浄土平から次々と観光の車が下ってくる。 つづら折りの登坂が続く。 |
9/19 14:07 お、ついに見えてきた。あれが吾妻小富士か? |
9/19 14:14 この日はさほど硫黄臭は強くなかった。 とはいえ、さっさと通過しよう、とばかり、 ついついペダルに力が入る。 |
もうすぐ標高1500m付近。森林限界を超えて、一気に視界が広がってきた。 このSR600Fukushima、風景上のハイライトは、コース前半に早々と現れる。 |
9/19 14:17 |
(もう同じ表現の繰り返しだが)ピークまで延々の登り |
9/19 14:19 |
9/19 14:24 なんとなく、 ツール・ド・フランスの中継で映し出される、 ガリビエやラルプデュエズと似た風景に思えた。 |
天上(=浄土平)に駆け上がる道 |
9/19 14:29 PC4 浄土平 96.8km |
9/19 14:31 浄土平ビジターセンターのレストハウスで遅めの昼食です。 坂でハンガーノックにならないように補給してきたのですが、 もう食べないと。 ところで、吾妻小富士の、スカイラインを挟んで反対側にも大穴火口というのがあり、こちらはしっかり白煙が出てました。 |
9/19 14:38 レストハウス、会津塩ラーメンで休憩 |
9/19 14:43 コロナ対策徹底の食堂 |
食後の薬を忘れずに |
9/19 15:09 浄土平ビジターセンターを出発。 その先に本当のピークがあり (写真は標高1600mの路面標示を通過して撮り損ね、 後ろを振り返って撮ったもの。 見送るように吾妻小富士の頂きが小さく見える)、 そこから、また20km以上の長いダウンヒルが始まった。 |
9/19 15:12 |
9/19 15:59 |
9/19 17:39 裏磐梯ゴールドラインで日が暮れてきた。 長い1日目だが、まもなく夜間走行が始まる。 21時ごろに会津若松、さらに23時までに喜多方の宿に着けば、上出来だろう。 その前にまず、猪苗代湖を半周以上しなければならないが。 |
9/19 17:45 PC5 磐梯山 153.1km 猪苗代湖方面への磐梯吾妻ゴールドラインの下り途中にあるPCスポット。 展望台というか、ちょっとした駐車場のみで、暗くなる前に寄れてよかったが、周りは何もなく、夜なら分かりにくいだろう。 (夜で分かりにくいPCはこのあと、頻出するw) 日が暮れてきたので、ここでライトを付けるなどナイト装備に切り替える。 |
9/19 19:42 PC6 猪苗代湖 湖雲山洞泉寺 188.5km ここに着く数百メートル手前の集落を通過したあたりから探し始め、 スマホの現在地情報とつきあわせながら、まさに暗闇の中で「発見」した次第。 |
9/19 22:00 会津若松市街 見通しより1時間ほど遅れた感じだが、 宿を予約している喜多方まではあと20kmほど。 平坦やや下りのリエゾン区間のようなものなので、 ゆっくり流していく。 それで予定通り、23時までには着けそうだ。 |
9/20 6:41 2日目、喜多方の朝。笹屋旅館にて。 またいずれかの機会に、ゆっくりと訪れたい宿。 |
さて、SR600Fukushima 2日目が始まった。 |
9/20 6:46 連休の日曜朝、静かな喜多方市街から |
9/20 6:51 PC8 喜多方 出雲神社 248.9km コース沿いの宿からすぐ1kmほど先に、次のPCスポット |
9/20 7:38 今日は標高1000m超の県境、そして山形県内を通る。 喜多方の近郊から、さっそく登りが始まる。 |
9/20 8:25 まずは取上峠。直登がメインで、 いつまでたっても変わらない前方視界。中盤で10%を超す区間がある。 |
9/20 8:47 桧原湖 天気はどんよりしているが、 湖畔の湿地帯では、釣りをしているのか、人がちらほらいる。 |
9/20 8:53 ここで左折し、磐梯から山形方面へ、白布峠(西吾妻スカイバレー)へ向かう |
9/20 10:49 PC10 米沢市街 「懸工発祥の地」の石碑 315.4km 市街地の真ん中に丘のような芝生地の公園があり、のどかな雰囲気。 朝に喜多方を出て以来、米沢までコンビニが皆無だったので、 事前に決めていたコース沿い、318kmあたりのコンビニ (ファミリーマート米沢万世町片子店)で、いったん大休憩とする。 (どん兵衛特盛天そば、タリーズブラック) |
9/20 11:40 コンビニを出て、そのまま県道を直進したら、ミスコース。 旧道が左に枝分かれしている箇所に気づかなかった。 そこまでいったん戻ってから、バイパス状の県道の下を右にくぐる。 風景が、市街地から急にだだっ広い水田に変わった。 稲刈りのシーズンがそろそろ、のようだった。 前方に低い山地が見えてくる。 |
9/20 11:51 米沢盆地の南端、福島県境への山並みがまた迫ってくる。 |
9/20 12:01 コースの県道は、山形新幹線と羽黒川に寄り添うように山間へ。 次のピークは標高差は400mほどだが、たっぷり20kmはある。 昼間なので山林に入ってものどかさを感じるが、 (これがまた夜間だったりすると、おそらく真っ暗な、心細い区間に様変わりするのかな)などと想像したりしながら、緩めの細い坂道をゆく。 |
ちょうど新幹線車両が通り過ぎる。スピード感が全くない。 新幹線なのに、在来線、例えば中央線の特急のような。 よく考えてみると、在来線型の新幹線区間を間近に見るのは初めてかも。 |
9/20 13:24 PC11 JR峠駅 339.1km とはいえ、酷い道は2kmほどだったので、ピークは無事すぐ越えた。 しかし、PC11に指定された峠駅は、県道からさらに入った奥地にあり、 折り返しまでのアップダウンもしっかりあった。 |
9/20 19:24 PC12 都路郵便局 430.4km ほんとに夜は真っ暗で、注意して探さないと、PCの場所が分からないほど。 |
9/20 20:30 最終日にいわきからの終盤コースとも交差する川内村を過ぎ、 JR磐越東線の小野新町駅を目指す。 道路灯もなく、夜闇が続くが、 時折、道が写真のようにバイパスのように広く新しくなったり、 山あいをまたぐ大きな高架橋を通ったりする。 だが、往来する車はなく、静けさのみ。 (どうしてこんな立派な道路が出来てるのだろう) そう感じさせるほど。 |
9/20 22:56 いわきの駅近くまできて、別のホテルに向かう参加者の方に挨拶して分かれて、 自分も予約したホテルにたどり着いた。ちょうど500km弱。 だいぶ完走のめどが立ってきた。 脚もなんとかもっているようで、やや安堵する。 |
9/21 0:18 シャワーは入った。あとは食べてから寝ないと。 |
9/21 6:18 3日目最終日の朝、起きた。 |
9/21 6:38 さあ、朝食だ♪
バイキングは感染防止で休止中なれど、 メニューさすが、藤田観光ワシントンホテル(目玉焼き2個@@) |
9/21 7:19 気持ちも軽く、出発。 |
9/21 7:21 PC14 いわき市 天照皇大神宮 507.1km 市中心部近くのホテルを出てすぐ。 初めてお見かけする参加者が1人、先に撮影していた。 軽く挨拶して、あとから撮影。 さて郡山駅ゴールまで、あと100km 午後には着ける見通しに。 |
9/21 7:33 |
9/21 7:54 |
9/21 8:52 とはいえ、激坂はまだ続く。 |
9/21 9:17 |
9/21 9:36 |
9/21 10:05 PC15 川内 あぶくまロマンチック街道 石標 551.1km ゴールまであと50kmちょっと。 |
9/21 10:47 最後のピークを越える前に、 のどかな風景の中にある商店に寄る。ベンチでひと休憩。 |
9/21 11:11 これが最後のピークか。 郡山が近づくにつれ、もう長~い坂はなくなってきた。ホッとする。 |
9/21 12:02 磐越自動車道をくぐる。集落が増えてきた。 |
気がつくと、今回のSR600であまり恵まれなかった陽光がここにきて。 とにかく、雨がなくて幸いだった。 |
9/21 12:17 これが実質、最後の坂かな~? |
9/21 12:30 PC16 三春滝桜 石標 590.6km ゴールの郡山駅まであと、たった13.5km |
9/21 12:35 郡山市近郊のさくらの公園近く。美しい小道をゆく |
さくら湖 |
9/21 12:51 青空が気持ちいい。 |
9/21 13:00 美術館通り、というおしゃれな名前の通りに |
郡山の市街が見えてきた! |
9/21 13:09 |
JR郡山駅前に戻ってきました~ |
駅前のローソンへ |
9/21 13:13 SR600福島 無事ゴール!!!!! |
9/21 13:16 600kmの過酷なクライム&ダウンヒル、 獲得標高1万m以上、53時間余りの旅でした。 今回もノートラブルでよく走ったぞ。我がCANYON ENDURACE 無事これ名馬。 |
9/21 13:53 輪行支度 |
9/21 14:38 帰りの新幹線まで少し時間あるので、ゆっくり昼食 |
9/21 15:03 |
9/21 15:23 さあ、帰ろう。 |
完走申請だん。
53h13mでした。 |