2019年10月22日火曜日

2019 Paris- Brest- Paris  (PBP=パリ・ブレスト・パリ 1200km)  【6】

「ブルベ戦記」 第354話


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 【Etape 06】(05から続き)

Loudeac(445km)
→Saint-Nicolas-du-Pélem (services only)(488km)
→Carhaix-Plouguer(521km)



2019/8/20 0:17 ルディアック

仮眠所で3時間後に起きて、すぐシャワー。
前回4年前よりもお湯の温度は保たれていたような気がしますが、決して熱くはなく、湯量も相変わらず少ない。さらに今回は排水が詰まっているようで、あまり気持ちのいいものではない。

とはいえ、贅沢は全然望んでいない。数分程度で入浴を終え、ウエアを着替えると、気分はさっぱり。
日本ツアーのドロップバッグ集積所の前はご覧のとおり。
(あれをバッグから出す、これは置いてく、これは持っていく)等々、
時間を気にしながら、ばたばたと荷物の入れ替えを行います。

私も、装着してきたライト(GVOLT70)2灯のうち、1灯を充電のためにモバイル電源につないでバッグに戻し、バッグに入れておいた別の1灯をバイクに付けたり。

また、袋に小分けしてバッグに入れておいた粉飴を出して、2袋はボトルに移し、残り3袋はここ(ルディアック)に夜また戻ってくるまでの間に飲むので、バイクに積んだり。

前回4年前は、そういう慌ただしさのなか、レインパンツを入れる袋をここで紛失したりも。

PBPでのライト(GVOLT70)のローテーション。これでまだ十分にランタイムに余裕があり、完璧でした。

こちらは粉飴デキストリンのスケジュール。(2)~(4)は仮眠を伴うコントロール毎。

さて、そうこうしてばたばたと4時間を過ぎてから(仮眠3h、シャワーなど1h+α)ルディアックを出発しましたが、到着がそもそも40分近く遅れていたので、0:30ごろとなっていて、計画時間(8/19 23:21)よりも1時間余り遅くなりました。


さて、この43km先のSaint-Nicolas-du-Pélem(サン・ニコラ・デュ・ペルム)はNO CONTROLですが、目安として3:00前には着いていないと、その次のCONTROL、CARHAIX-PLOUGUERのクローズドタイム=CONTROL CLOSE(5:30)に間に合わなくなります。
今回のPBPでは、CONTORLで2回続けてタイムオーバーしても、その次で挽回できればOKとされていますが、大きな遅れを後半で取り返すのは大変でしょう。


(まあ、なんとかするさ)と思いながらルディアックをあとにしましたが、
今にして、いろいろ自分の記録をひっくり返してみても、サン・ニコラ・デュ・ペルムまでの写真が一切ありません(汗) もちろんログの軌跡はしっかりあり、サン・ニコラ・デュ・ペルムにも寄っているのですが、眠かったのか、撮影していませんでした。




これまた場所の記憶、もちろん撮影もなくて、定かでないのですが、

ルディアックをソロで出てから、真っ暗闇の田園地帯の直線を走っていました。
たまたま前後に誰も同走の参加者がいない状況でしたが、

なんと突然、白と黒の巨大な野犬2頭が、私の行く手をふさぐように道路わきの右手の草むらから飛び出してくるのがライトに照らし出されるではありませんか!!!
 しかも1頭の白いほうは、吠え声とともに牙をむき出しにして。


2頭は まるで狩りでウサギを追い込むかのように、私の進路前方をふさぐように斜めに道路に走り出してきました。

(これは突っ切るしかない)
と必死にペダルを回して間一髪、2頭を振りきりました。
一瞬、追いすがって右の足首に嚙み付こうとする1頭の荒い息を感じました。


そのままひたすらこぎ続けたら、すぐ先の道路右脇に、 オダックスジャパンのウエアを着た男性がひとり佇んでいるじゃないですか。すぐ後ろの暗闇から、まだ野犬たちが追いかけてきているかもしれません。

私は思わず「Beware of the dogs!!」と叫びながら通り過ぎましたが、
休憩しているらしい彼が日本人と認知できたものの、
叫ぶのが同時だったので、ここはしっかり英語で(笑)




と、大会3日目に入る真夜中には、道中で一騒動あったりしましたが、
このあと、ホテルでも同室のNさん、下北沢のブルベの女王様と偶然、一緒になりました。

女王様にあとで聞いたところでは、この時に住民のエイドステーションに立ち寄り、寒かったので温かい飲み物がありがたかった、とのこと。自分はそのこと、全然覚えてません苦笑
 どうやら、その場所はログ軌跡からして、コース沿いのこのお宅の前らしいです。


しかも、サン・ニコラ・デュ・ペルムに着く前、集落の入り口のアパート?の玄関ホールを寝床に、女王様ら連れの何人かと15分程度の仮眠もしています(どうして、すぐ先に補給できる場所があるのに、手前で寝たりしていたんでしょう??)

 
2019/8/20 3:33ごろ  Saint-Nicolas-du-Pélem
 (services only)(488km)
  (予定2:42/-51min.)

そして、NO CONTROLのサン・ニコラ・デュ・ペルムは、前回の時のこともあり、なんとなく予想はありましたが、やっぱりシークレット・コントロールでした!
ただ、とにかく時間を意識していたので、直前で仮眠休憩をとったこともあり、たった5分程度で離れました。


そして夜道をさらに33km区間を走り、予定より7分遅れにまで挽回して、CARHAIX-PLOUGUER(カレー・プルゲール)に到着。このような臨機応変の行動をとれる思考や体力がこの時間帯に保持されていたのは幸いでした。












2019/8/20 5:08  Carhaix-Plouguer(521km)
        (予定5:01 / +7min.)



2019/8/20  5:20 カレー・プルゲール     何の列だったか忘れましたが、とにかく並びます。
ここ往路のカレー・プルゲールでは、ルディアックのあとで合流した下北沢のブルべ女王様が、自分のバイクを駐輪場のどこに停めたか、という記憶をロストする、というハプニングが発生。
(バイクはのちに無事発見され、彼女は見事に時間内完走しています)。
このバイクの数ですから仕方ありませんね。






2019/8/20  5:43 カレー・プルゲール 
 そろそろ、各コントロールでこういう光景が常態化してきます。


 【7】につづく


2019年9月9日月曜日

2019 Paris- Brest- Paris  (PBP=パリ・ブレスト・パリ 1200km)  【5】

「ブルベ戦記」 第353話


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 【Etape 05】(04から続き)

 Tinteniac (360km)
→Quédillac (services only)(386km)
→Loudeac(445km)



2019/8/19   15:18
 タンテニアックを出て、NO Controlのケディヤックへ。
大会2日目の夕方が近づいてきました。

ちなみにこの写真にもある、道路中央の分離帯の縁石。ぶつからないように要注意です。
とはいえ、夕方の時間帯ではあるのですが、
日没が21時以降なので、まだまだ昼間のようです。
2019/8/19 15:49 メドレアック 
  教会の特徴的な尖塔が、遠くからでも目立ちます
2019/8/19 16:13  Quédillac (services only)(386km)
                (予定15:54 / +19min.)


前半の途中から、出発時のチームでのペースがそろわなくなってきて、
ケディヤックを出てからはいよいよ、ソロ走行になってきました。

事前にそういったケースも想定していたので、
スマートフォンのメッセンジャーなどでそれぞれの居場所を確認しておけばいいのですが、自分のスマホの電源はそろそろ少なくなってきました。


いずれにせよ徐々に、あの前回(2015年)のソロ走行の雰囲気が蘇ってきて、
それはそれで懐かしい感じがしました。

さらに、ケディヤックからルディアックまでの間は、
けっこう降りの強い通り雨があったり、
向かい風を感じたりしながら、の走行。

走りに集中して、無心で走っていました。




   2019/8/19 19:59  Loudeac(445km)
            (予定19:21 / +38min.)



そして、往路のルディアックに到着。
ここも4年ぶりの訪問となります。
ここで400kmを超え、全行程の3分の1を過ぎたことになります。
しっかり3h仮眠と補給をとれれば、ブレスト往復がいよいよ、みえてきます。




日本のツアーのドロップバッグ集積所。
前回(2015年)180個だったのが、今回はなんと330個!
自分がプチ失敗だったのは、
自分のドロップバッグに何か目立つ印を付けていなかったこと。



(番号で探せる)と思ったのですが、
実際は集積所の山のようなバッグから探しだすのに往・復路でそれぞれ5分近くかかり、
もったいないタイムロスでした。



前回(2015年)は、
4h余りの滞在時間のうち、最初に補給とシャワー、着替えをしてから仮眠所に向かった記憶ですが、今回は順番を変えて、仮眠3h→シャワー(着替え)の順にしました。

初参加で興奮気味だった前回ほどは今回はアドレナリンが出ていないのではないか
(→眠気がきやすいかも)という思いがあり、
意識的に、仮眠の優先順位が上がっていたからです。


背景には、パリ行きのANAでの予想外のバタバタがあった。
時差ボケ防止で、今回もなんとか寝ないつもりだったが、
ついビールに手を出し、うっかりうたた寝してしまう。
「2回目のPBP」という気持ちの持ちようとともに、
行きの機内で「完徹」ができなかったことは時差ボケ的には若干、
よくなかったのかもしれない。


さらに機内Wifiが有料(21.95$)と知らず、繋がらない、
と何時間もスマホと無駄な格闘。

また、トイレいくこと数多。
10h近くで尾てい骨が痛み出し、両こめかみの頭痛も起きて
バファリン2錠をCAにもらう羽目に。
軽く胃もたれしつつも食事後、やっと頭痛は軽くなる。


シャルル・ド・ゴール到着まで1時間半、
コーヒー控え、オレンジジュースもらったりしていました。





さて、ルディアックではまず3時間の仮眠です。
まだ明るい上に、歓迎の音楽バンドが仮眠所のすぐ隣で演奏しており、
静かな環境ではありません(笑)

が、私は割り当てられた寝床で、すぐに寝落ちできました。


【6】につづく


2019 Paris- Brest- Paris  (PBP=パリ・ブレスト・パリ 1200km)  【4】

「ブルベ戦記」 第352話


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【Etape 04】(03から続き)

 Fougères (306km)
→Tinténiac(360km)



2019/8/19  11:43 
大会2日目の昼前、フジェールを出発します。
前回(2015年)に停まった、記憶ではただ一か所の赤信号には、今回は赤に信号が変わる寸前で通過しましたが、その後の、別の信号にひっかかりました。
いずれにしてもフジェールは、普通に信号が多い町です。

2019/8/19 12:05 ロマーニェ
前回(2015)比で大きく異なったのは、風が多かったこと。
特に往路中盤までは、向かい風で消耗しやすい条件だった。

一度、単独で大集団から先行したが、疲労を感じつつも、かなり離したと思ったら、すぐに元の大集団に飲み込まれた。
まさにグランツール的な体験。






 2019/8/19 13:47  ディンジェの教会
2019/8/19 13:57  
タンティアックが近づくにつれ、集団走行が増えてきました。
と思いきや、前方で、これを抜くのに手こずっているライダーが多く、列が詰まり気味であったことが判明。

この写真でも分かる通り、狭い道ですが、しっかり中央線(黄色)が引かれています。
つまり、右側通行キープで、
たまに対向車が来たり、そろそろブレストからの折り返し組ともすれ違う可能性があり、道幅いっぱいに広がって走行することが出来ない、ということがあったりします。


しかしこれは、下りではとてつもない速さです。
抜かれ方に神経を遣うほど。
Tinteniac (360km)  2019/8/19  14:10
       (予定14:06/+4min.)

前回(2015年)よりも地元の方々の歓待(バンド演奏とか)が派手で、にぎやかな印象が。
ただ、大勢いる広場から離れて建物に入ったりすると、そこは静かで、少し休憩したい身としては、ほっとします。
さあ、ドロップバッグが待つルディアックまで、あともう一息です。

【5】につづく