2020年5月18日月曜日

「ランド坂」とは

「ブルベ戦記」 第372話


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東京23区内には、大きな山がありません。




関東平野とはいえ地形の起伏があるので、坂はもちろんあり、いわゆる「激坂」もあります。

が、いずれも距離が短く、何往復もすると満足してしまう(あるいは飽きるか、疲れ果てる)という代物です。












同じ都内でも、関東平野の端、例えば奥多摩などへ脚を延ばせば、いくらでも山はあり、あるいは、神奈川県内や房総半島、三浦半島にも山はありますが、

そこに至るまでには、23区内を朝に出ても自走するだけで数時間を要してしまうので、ブルベや日帰り100km超ライドでもなければ、毎週末のようには行けません。そこまで時間をかけて出かけられない時もあったりします。





ということで、

気軽に半日程度のトレーニングしたいような時は、多摩川を渡った先の近隣、生田丘陵、多摩丘陵といった、ちょっとした坂があるエリアへよく出向きます。


ここには、通称「ランド坂」とサイクリストたちに呼ばれる坂があります。
その丘陵の上には「よみうりランド」があります。だからランド坂、なのです(笑)。



ランド坂とは言いますが、ここの丘陵には、いくつかの登坂ルートがあります ↑
 で、よみうりランドの位置を中心にして主なルートをみると、

 
・北側からは、京王よみうりランド駅から始まる2つのルート(A / B
・南側からは、 小田急・読売ランド前駅沿いの津久井道(高石歩道橋交差点)から入り、よみうりランドの正面に上がる坂(C)
・日本テレビ生田スタジオを通って、よみうりランドまで上がるルート(D)もあります。



ランド坂としては旧道タイプで交通量の多い(B)が古株ですが、
これらの中でも近年、専門誌などでもよくロケに使われたりもして、最も有名になっているのが、北側ルートのうちのひとつ(A)、U字型の「よみうりV通り」でしょう。



よみうりV通り、と正式にはたいそうな名前が付いているのですが、
あまりそのままで呼ばれることはなく、このU字型の坂をサイクリストはやはり「ランド坂」とひっくるめて呼んでいたりします。あるいは「V坂」とも。
「通り」といいつつ、実際は坂だったりするので、そこに違和感があったりするからでしょうか??


なお、「V」というのはVictory(勝利)のことでしょうか。
アンチなので、これ以上は触れませんが(笑)


(峠じゃあるまいし、こんな距離の短い坂、取り上げるほどのことか??)

そうお思いの方もいらっしゃるかもしれませんが、なめてはいけません。
この坂、結構なリピーターを抱えています。
それなりに手応えがあるからでしょう。
(自分にとっても、ここが坂練の「ホーム」とさえ思えるほどです)





では、このランド坂=よみうりV通りのプロフィールですが、

京王よみうりランド駅前から登坂区間が始まり、読売ジャイアンツ球場の入り口を通過して、丘陵の頂上=平坦区間に入るまで約700mの距離。
標高40mから100mの高さまで、つまり標高差60mを登ります。
ということで、平均勾配は約8.5%となります。

 
まず、いきなり8%坂から始まり

前半区間の途中で最大斜度10%+に

そこからは右にカーブしながら8%台の中盤区間、

さらに後半、ジャイアンツ球場入り口を左に過ぎて、緩く左へカーブしながら頂上へ、

 


距離は700mと短いですが、坂のフェイズがいくつかあります。

 


特に後半、坂の先になかなか頂上が見えてこない(=終わりそうで、なかなか終わらない)ので、なんとなく峠を疑似体験できる(=それっぽい)のです。 



坂を登り切った先には、ふもとの東京・稲城市の市街地を見渡せる場所があります。「巨人への道」という大きな碑もそこにあったりします。

その頭上には、駅とよみうりランドを結ぶゴンドラも運行されていて、 ふつうの人はわざわざ迂回しつつこの坂を登ることもなく、直線的にゴンドラで登ってゆきます。













ただし、巨人軍のファンの方々は坂の途中にある彼らの聖地=ジャイアンツ球場を目指して来るので、私たちサイクリストと同様、坂を登り下りする姿をよく見かけます。





余談はさておき、

自分の場合、いつも尾根幹を往復してきてからの帰り道に寄るので、脚がフレッシュではないのですが、だいたいシッティングでは3分台前半、切って2分台に入ればそれは調子がいい時、で速いほうです。(※ちなみにStravaの歴代記録をみると、1分台の人たちが上位を占めていますが、どう登っているのか、ちょっとにわかにイメージできません)


シッティングで通すならば、序盤は、少し重めのギアで加速をつけてそのままトルクを維持しながら10%区間をやりすごしますが、前半で頑張ると中盤で息が上がってくるので、そこで後半は上半身を立てて呼吸を楽にし、ギアは軽くしてケイデンスを上げて登り切る、といったパターン。ダンシング通しだと、また違ったギア選択になったりします。




なお、前半の勾配10%区間にさしかかるあたり、路面には(登りなのに)カーブ手前の速度抑制用の凹凸が設けられていて、がたついてペースが落ちて嫌なので、ここはフラットな狭い路肩に寄ります。


また途中、センターポールも設置されていて車道の幅が限られるので、後ろから車が接近してきた場合は気をつけましょう(10%勾配で後続に気をつける、といっても、なかなかハンドル操作の余裕はないのですが)。



























その日の練習ライドのメインディッシュをこの坂だけに絞るなら、坂を登ったら下って、また登る、シッテイングの次はダンシングの通しで、とか何往復かするといいでしょう。

 
ちなみにこのランド坂で、エベレスティングに挑戦する強者(つわもの)もいるのです!
登山のように攻め甲斐のある坂、ということですね(違)




この坂、トレーニングの観点からもうひとつポイントがあります。
それは「下り」です。


U字型をしているので、下りは途中で左カーブになり、結構なスピードが出ます。
つまり、これはこれでブレーキ操作や、下りカーブの姿勢保持のいい練習になるのです。
(下りがどうも苦手で)という方にはお勧めです。

 ただし勾配があるので、下りはかなり速度が出やすくなっています。

あくまでここは「公道」ですので、まずは交通安全第一、でいきましょうね。